膝痛に方は、よく太ももの前側を鍛えようと言われることが多いのではないでしょうか。
イスに座って足首に重りを付けて膝を伸ばそうといった指導や膝の下にタオルを入れて10回潰しましょうといった指導を受けたなんてことも聞いたことがあります。
果たして、太ももの前側の「大腿四頭筋」のトレーニングはそれだけで良いのでしょうか?
今回は、そんな膝痛に対する大腿四頭筋のトレーニングについてお話したいと思います。
大腿四頭筋とは
まずは、今回トレーニングする「大腿四頭筋」について簡単に説明します。
大腿四頭筋は、太ももの前側にある4つの筋肉をまとめた筋肉群です。
- 大腿直筋
- 外側広筋
- 内側広筋
- 中間広筋
の4つの筋肉を指します。
なんとなく、どこにある筋肉なのかわかって頂ければ構いません。
筋肉には、収縮のパターンが3つある
今後の話のために、少し筋肉全般における収縮のパターンについてお話します。
筋肉には、等尺性収縮・求心性収縮・遠心性収縮の3つのパターンがあります。
等尺性収縮(静止性収縮)
関節運動を伴わない「静的」な状態での筋収縮です。
そのため、筋肉の長さが変わらないまま力を入れます。
求心性収縮
関節運動を伴う「動的」な状態での筋収縮です。
求心性のため、筋肉の長さが縮みながら力を入れます。
遠心性収縮
関節運動を伴う「動的」な状態での筋収縮です。
求心性のため、筋肉の長さが伸ばされながら力を入れます。
https://movement-design.com/より引用
筋収縮には、等尺性収縮・求心性収縮・遠心性収縮の3つのパターンがある。
イスに座って膝を伸ばすはどの収縮?
そして、今回お話ししたいのがこの求心性収縮と遠心性収縮についてなのです。
では、みなさんがよく指導されることのある椅子に座って膝を伸ばす・膝の下にタオルを入れてタオルを潰すは求心性収縮・遠心性収縮のどちらになるでしょうか?
答えは、求心性収縮になります。
大腿四頭筋が縮むことによって膝が伸ばさるといった動作のトレーニングを行っていることになります。
イスに座って膝を伸ばすエクササイズは、筋肉が縮みながら力を入れるため求心性収縮になる
あなたの膝が痛い動作をトレーニング方法は合っていますか?
ここで大事なのが、「あなたはどの動作で膝が痛みますか」ということです。
もしあなたが、「歩いているときに体重が乗ると膝が痛い」とします。
その場合の動きは、足を前に出す→体重を掛けながら膝を少し曲げるといった動作になります。
その時に大腿四頭筋は膝を曲げることで大腿四頭筋は伸ばされながら力を入れているため遠心性収縮をしてます。
ですので、もしあなたが歩いているときに膝が痛いのを治そうと椅子に座って膝を伸ばしたり、タオルを潰す求心性収縮のトレーニングをしているのであればなかなか効果が現れないと思います。
なぜなら、あなたの痛い動作と全然違う動作のトレーニングをしているからです。
こんなトレーニングがおすすめ
もし私のもとに、そのような歩いていて体重を掛けると膝が痛い患者さんが来たらこのようなトレーニングを行っていきます。
- 膝立ちに立ち、胸の前で手を組む
- 膝から頭までまっすぐに保ち、ゆっくり後ろに倒れていく。
- 少し倒れたら、もとに戻る。
この際に、転倒の危険や筋力が弱い方は背中を保持してサポートしながら安全に行って頂きます。
この動きでは、カラダを後ろに倒していくと膝が曲がり、倒れないように体制を保つために大腿四頭筋が伸ばされながら力を入れ遠心性収縮のトレーニングを行うことができます。
※無理なトレーニングやフォームが崩れたトレーニングはケガが痛みの悪化に繋がりますのでひとりでいきなりやることはおすすめしません。
エクササイズ効果をしっかり考える
どんな痛みもそうですが、闇雲にエクササイズやリハビリを行ったからといって良くなるわけではありません。
- あなたが痛い動作はなにか
- それに向けて、段階的にエクササイズ・リハビリを行っているか
といったようなポイントを考えながらエクササイズを行ったほうが数段に早くあなたの膝の痛みがなくなってくれると思います。