オスグッド病とは
オスグッドは、正式名称を「オスグッド・シュラッター病」といいます。
アメリカの整形外科医オスグッド氏と、スイスの外科医シュラッターが、この症例を学会に報告したことから名づけられました。
10歳~15歳くらいの成長期にあたる子どもに頻発するスポーツ障害です。
特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、膝への負担が大きいスポーツ種目で多くみられます。男女比では男子に多いのが特徴です。
膝のお皿の下あたりには脛骨(けいこつ)と呼ばれる太い骨が存在し、その脛骨には脛骨粗面という骨が隆起した部分があります。オスグッド病では、この脛骨粗面が少しずつ突出し、痛みが発生する疾患です。
原因
太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝の曲げ伸ばしをするときに重要な役割を担っています。オスグッド病の原因は、この大腿四頭筋の使いすぎや柔軟性の低下によって症状が出るケースがほとんどです。
大腿四頭筋は太ももの前側から膝のお皿を経由して、脛骨粗面に付着しています。
膝の曲げ伸ばしの動きを繰り返し行っていると、大腿四頭筋の収縮する力が膝蓋靱帯を介して付着している脛骨粗面部が強く引っ張られる状態が続きます。
その際に、骨端軟骨の一部に剥離が起こることでオスグッド病が発症します。
子どもの骨は、大人の骨と比べてやわらかい骨のため、どうしても不安定な状態です。
また、骨の成長スピードに対して筋肉や腱の成長が追いつかず、アンバランスな筋骨格構造になっています。
そこに過剰な運動による負荷が加わることで、膝の痛みが起こると考えられています。
オスグッド病=成長痛ではない
オスグッド病は、成長期にしか起こらない疾患ため一般的に成長痛と認識されていますがそれは大きな誤解です。
万が一、成長痛だとしたら同じクラスの友達や同じスポーツをやっている友達などみんながオスグッド病になってしまうことになります。
しかし、実際にはオスグッド病になる子もいればならないまま大人になる子もいます。
そのため、オスグッド病は成長痛ではなく成長期にある骨端軟骨に負担がかかり発生する痛みであることを再認識しましょう。
ですので、「成長痛だから成長期はうまく付き合っていくしかないよ」と言われたかもしれませんがそんなことはありませんので安心して下さい。
オスグッド病は適切な治療を行うことで症状は改善します。
オスグッド病 | 成長痛 | |
年齢 | 10歳から15歳の成長期 | 幼児~小学生 |
原因 | 膝の負担 | 原因不明 |
痛み場所 | 膝のお皿の下あたり | 下肢全般 |
レントゲン所見 | 異常あり 脛骨粗面の剥離 | 異常なし |
症状
脛骨粗面(膝のお皿の下骨)の軟骨が剥離している状態なので、オスグッド病の症状は、膝のお皿の下骨あたりに現れます。
- 膝のお皿の下骨が突き出てくる。
- 膝のお皿の下あたりが赤く腫れる、熱を持つ、痛みがある。
- 運動をすると痛み、休むと治る。
多くのスポーツ競技で発生しますが、特にジャンプ動作(バレー、バスケ)での膝屈伸時や、ダッシュやキック動作(サッカー)で起こりやすく、膝蓋骨下方にある脛骨粗面に限局した疼痛と強い圧痛が主症状です。
治療
オスグッド病の基本的な治療法は、「保存療法」です。
患部を休めることが重要になります。
症状が初期であれば、練習量を減らすもしくは安静にすることで症状は治ります。
痛みを我慢して運動していると、悪化して手術になるケースもあります。
ストレッチ
炎症・痛みが落ち着いてきたら、ストレッチを始めましょう。
※痛みが強いうちは安静に。ストレッチは控えましょう。
太ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチ
- 両足を伸ばして床に座る
- 片方のヒザをゆっくり曲げる
- 腕を背中の方について支えながら、少しずつ体を後ろに倒す
- 足を変えて反対も行う
装具療法
脛骨粗面の負荷を軽減するために、膝に専用のサポーター(オスグッドバンド)を装着することも効果的です。
オスグッド病の予防
成長期に伴う“太ももの前の筋肉の硬さ“がオスグッド病の原因となります。
そのため、スポーツの前後には、念入りにストレッチを行って、太もも前筋肉の柔軟性を保つことが大事です。
ストレッチの方法は、先ほどの治療法でご説明したやり方で良いでしょう。