当院に来院される子供の中で、他の病院で「成長痛」と言われたけどなかなか治らないから来ました。とおっしゃって来院される方がいます。
そして、その子供を診てみると「オスグッド病」の場合がとても多いです。
この流れをみて、「あれ?オスグッド病って成長痛じょうないの?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、オスグッド病=成長痛ではありません。
オスグッド病と成長痛は、全然違うものになります。
今回は、そんなオスグッド病と成長痛に違いについて説明します。
成長痛とは
「成長痛」は、
“成長期の子どもの足(下肢)の痛みの総称(呼び名)”として、広く使われています。
成長痛の症状
- 夕方~夜(寝ている間)や朝方に痛みを訴える
- ずっと痛い訳ではなく、月1~2回、週1~2回など不定期に痛む
- 痛い部位に腫れ・圧痛(押すと痛みを感じる)など炎症症状はない
- レントゲンを撮っても、特に異常が見当たらない
成長痛の原因
「成長痛」と呼ばれていますが、実際、骨の成長に伴って痛みが発生することは医学的にはなく、痛みの原因は今のところ不明です。
しかし、成長痛の原因には、ストレスが関係していると考えられています。
大人であれば、頭痛や腹痛がストレスによって生じるように、それと同様にお子さんの場合、ストレスが“足の痛み”として現れることがあります。
ストレスというと、「自分がストレスを与えてしまっているの?」と自分を責めてしまいがちですが、そうではありません。お子様は成長の過程で、生活できるようになるうえで年齢ごとに色々なストレスを感じるのです。
ちょうど一次成長痛が多くなる3歳~5歳頃は、親御さんと一日中一緒だった乳幼児期とは異なり、自分でやらなければならないことも増え、ストレスが溜まる時期です。
- 食事やお風呂、歯磨き
- 遊んでいるのを辞めなければならない
- 保育園や幼稚園の通園による団体生活
- 友人関係
こうした日常生活を規則正しく行っていくことに慣れていないため、疲れてしまい、ストレスを感じやすくなります。
さらに、小学生(6~11歳)になれば友人関係や学校の先生との関係、習い事へのストレス、12歳以降(思春期)になると異性関係や親子関係など、子どもの成長に伴いストレスの原因も変わってきますが、同じようにストレスが足の痛みとして現れることがあるのです。
オスグッド病とは
オスグッド病は、10歳~15歳くらいの成長期にあたる子どもに頻発するスポーツ障害です。膝のお皿の下あたりには脛骨(けいこつ)と呼ばれる太い骨が存在し、その脛骨には脛骨粗面という骨が隆起した部分があります。オスグッド病では、この脛骨粗面が少しずつ突出し、痛みが発生する疾患です。
オスグッド病の症状
- 膝のお皿の下骨が突き出てくる。
- 膝のお皿の下あたりが赤く腫れる、熱を持つ、痛みがある。
- 運動をすると痛み、休むと治る。
オスグッド病の原因
オスグッド病の原因は、この大腿四頭筋の使いすぎや柔軟性の低下によって症状が出るケースがほとんどです。
大腿四頭筋は太ももの前側から膝のお皿を経由して、脛骨粗面に付着しています。
膝の曲げ伸ばしの動きを繰り返し行っていると、大腿四頭筋の収縮する力が膝蓋靱帯を介して付着している脛骨粗面部が強く引っ張られる状態が続きます。
その際に、骨端軟骨の一部に剥離が起こることでオスグッド病が発症します。
成長痛とオスグッド病を比較
成長痛 | オスグッド病 | |
年齢 | 幼児~小学生 | 10歳~15歳 |
原因 | 原因不明 | 膝にかかる過度な負担 |
炎症の有無 | 腫れや圧痛などの炎症所見なし | 腫れや圧痛あり |
レントゲン所見 | 異常なし | 脛骨粗面の剥離などの異常あり |
痛みの場所 | 下肢全般 | 膝下のみ |
痛みの出方 | 月に1.2回、週に1.2回など不規則 | 運動中や運動後など常に痛む |
上記のように、二つの症状を比べると大きく違います。
オスグッド病=成長痛ではない
オスグッド病=成長痛では、ありません。
そのため、行っていく処置も違ってきます。
オスグッド病を成長痛だと思ってそのままにしておくと、膝下の突出がどんどんひどくなってしまうことがありますので注意してください。